言いたい事は数あれど

言いたいことは数あれど友人も知人もいない僕がネットの海に愚痴を投棄するブログ

出版社くん!お友達になろうよ!

僕は中学生の頃に漫画村に触れていたのかもしれない

 

 

2012年に違法ダウンロードの刑事罰化が施行された。メディアでも取り上げられ普段インターネットに触れない、インターネットを「なんかべんりですごいやつ」ぐらいにしか思っていないような層にも多少知れ渡ることとなった。

 

そして2018年、漫画村という漫画の海賊版をゾロゾロと引き連れたゴールドロジャーのような存在が世間を賑わせた。これもまたメディアで取り上げられ普段インターネットに触れない、ブラウザの上半分が複数の検索バーで埋まっているような層にも知れ渡ることになった。

 

結局漫画村は閉鎖されその他の海賊版サイトと共にブロッキングされる、という終末を迎えました。その後は政治家がセクハラしただの、どこかのメンバーが女子校生にキスしただのという馬鹿者の性の乱れが話題となり人々の記憶から早速薄れ始めてきている。

 

しかし今こそチャンスなのではないのだろうか。今までこんなにも漫画の海賊版に世間の注目が集まったことは無いような気がする。このタイミングだからこそ僕は出版社に動いてほしい。出版社に友達になって欲しいのだ。

 

 

僕は小学校高学年から中学生の頃、無料で漫画を読んでいた。もちろんその時は漫画村なんてなかったし、類似するサイトがあったとしても僕自身が見ることは出来なかっただろう。

 

小学校高学年ともなればコロコロコミックからジャンプやサンデーへの移行を進めているぐらいの時期で、僕の学年の多くはジャンプ派だったと記憶している。

その頃僕は自費で「ボボボーボ・ボーボボ」をメインに連載中の漫画を追いかけるように単行本を買いあさっていた。買いあさるといってもそこは中学生、思うように買いたい本を買えていたわけではなく、自分のなかで優先順位を決めてチマチマ集めていた。

それでも読みたい買いたいという欲求は尽きることは無く、特に連載中の作品の過去がどうしても知りたかったのだ。何故ルフィは体を自由自在に伸ばすことが出来るのか。もしかしたらルフィの父親がインドで語り継がれる伝説的なヨガの達人で子供のころから勉学そっちのけでヨガを叩きこまれてたのかもしれない。そう考えると僕はワンピースの1巻を見たくて見たくてしょうがなかった。

 

そんなある夏の日僕は冒険心に動かされ自転車で行ったことの無い方向に行ってみることにした。五年生で転校してきた地域にまだまだ慣れていなかったからだ。

そこで運命的とも思える店と出会った。大通り沿いに建つその店の名前は「ブックオフ

 どこかで聞いたことのある名前「ブックオフ」そう、確か本...本が安く?安く買える...?

それはまさにエルドラド。普段であれば400円以上する単行本が100円ぐらいで買える黄金郷。

あの時の僕は確かにコンキスタドールだった。逸る冒険心を抑え、自転車を停め店内へ入る。

 

「いらっしゃいませぇー!!」「いらっしゃいませぇー!!」

無駄に大きい挨拶が出向かえる。ガタガタと音を立てて自動ドアが閉まっていく。冷房が上手く効いていないのか外より少しだけ快適な空気が僕を包んだ。

目の前の棚には店のおすすめなのかジャンプに連載中の作品の単行本が並んでいた。まさかこれが100円で買えるのか?そんなことをしてしまっては本屋は潰れてしまう。実際にその数年後行きつけの本屋は潰れていたがブックオフのせいではない。多分ね。

棚に近づき値段を確認する。350円

おーぅ?いや安いね?安い...あれ?僕が聞いていたのは間違いだったのか?そう思った僕は他の本を手に取った。250円

おっとっとっとっとぉ?これは一体どういう事だろう。手に取ったのは一冊目と同じ作品の同じ巻である。それなのにこちらは少しだけ安い。見比べてみると確かに250円のほうは何だか古臭い。それに少し臭い。古書の香りが漂っている。そうかなるほどここはアレだ、中古品を取り扱っているのだな?僕はブックオフというエルドラドの化けの皮を剥がした気分になった。

それと共に少しだけ安堵した。確かに値段が安いことは大きな武器ではあるものの、中古に対して嫌悪感を抱く人間も一定数居るものだ。だとすれば本屋へは新品を欲しがる人が集まるはず。本屋も本を売ることが出来るのだ。だから潰れたのはブックオフのせいではないのだ。きっとね。

 

エルドラドに足を踏み入れその実態を掴んできたが僕の目的はまだ果たせていない。エルドラドの中のエルドラド、金閣寺の中の黄金茶室を求めてきたのだ。100円で本を手に入れる。それこそがコンキスタドールである僕の使命なのだ。

そう覚悟を決めて棚の横を覗くとそこにはエルドラドに潜む闇が姿を現した。

何人もの人が立っている。その手には本があり開かれている。人の視線は本のページにくぎ付けのようだった。異様な光景だ。いややってることは立ち読みなのだから異様というまでの事ではないだが、そこには小学校高学年を軽く引かせるくらいの空気が漂っていたのだ。

だがそこには確かに自分の読みたい本が並んでいた。今ならルフィの過去どころか対して興味のない主人公の過去まで知ることが出来るのだ。

 

さて問題です。小学校5年生の目の前に読みたい本が有り、周りには立ち読みをしている自分よりも明らかに年上な人間が並んでいます。さらには店内にはそれを禁止する旨の注意書きも無い場合、立ち読みを我慢することは出来るでしょうか。

無理だよ

 

僕はワンピースの1巻を手に取った。そしてページをめくる。その瞬間僕は確かに黄金茶室の中にいた。鈍くくすんだ黄金茶室の中で立ち読みをしていた。なるほどねー悪魔の実食って体伸びるのねー。

 

それから先僕がどんな生活送ったかは説明する必要もないだろう。暇が出来ればブックオフに通い立ち読みをし、店に1銭も落とすことなく満足した顔で帰っていく。それが僕にとっての読書という娯楽の楽しみかただった。

 

正直言って罪悪感が全く無かった訳ではない。調べるとブックオフはお客さんが多く入っているように見せたいから立ち読みを容認している、なんて意見も散見されるが僕はそれを盾に厚かましくいられるほどの強者ではない。もしブックオフの店員が同僚のブスの物理的厚顔無恥に対してストレスが溜まっており、そのうっ憤を晴らすように「今日はちょっと立ち読みやめてくださぁい!!」なんて言われれば僕はすぐさま退散して「なんだあの店員ふざけてんのか」と別のブックオフを目指すだろう。

 

ブックオフでの立ち読みは別に咎められるわけでは無いが、かと言って「俺ブックオフで本読みまくってんだぜ~」なんて自慢風に言おうものなら周りから「何言ってんだ」「お前それは無いわ」「くせぇんだよデブ」と言われてしまう行為なのだ。

これは漫画村と少し似ている。漫画村で漫画を読むことは違法なのでブックオフとは違うのだが、利用者の意識は似ている。結局どちらも褒められたことでは無いのだ。

 

もし小学生の僕に漫画を大量に持っている友人が居たらどうなっていただろう。友人から漫画を借りて読むこと、友人の家で漫画を読む行為。それに対して罪悪感を覚える人は少ないはずだ。

「友人Aに貸してもらった漫画面白かったぜ~」と言っても「まじで~?俺も読みてぇ」「あれ面白いよな!」「くせぇっつってんだろデブ!」という言葉が返ってくるだろう。

 

今、そして今後こういった漫画の貸し借りというものは難しくなっていくだろう。ペーパーレスは上手くいってないもののいつかはその日はやってくると僕は思っている。そうなった時どうやって漫画を貸すのか、貸してもらうのか。

 

その友達になれるのは出版社、いや出版業界なのではないのだろうか。

 

月額ストリーミングサービス、動画配信サービスの勢いは凄まじく、特に動画配信サービスはそれぞれオリジナルのコンテンツを用意し始めたりと破竹の勢いだ。そしてその勢いは違法ダウンロードにも影響を及ぼした。こういったサービスの普及で違法ダウンロードの数が減ったのだ。

 

人はひたすらに安価を求める生き物ではない。倹約をしていても一定の質を確保しようとする人はいるし、僕だって同じ中古本でも100円ランクの本は買いたくない。日に焼けたとかいうレベルじゃない質の本は眼中にないのだ。

 

違法ダウンロードが減った原因はサービスの質だとも言われている。正規ではないサービスはUIやサーバーの安定性など抱える問題が多い。Xvideosがいい例だ。検索はクソだし動画はスグ消える。さらに本編がフルで存在することが無い。動画投稿者のベストセレクションなのか何なのか知らないがエロいシーンだけ抜き出した動画もある。違うじゃん、インタビューシーンがあるから本番が映えるんじゃん。

 

僕は出版業界が手と手を取り合って良質なサービスを提供してくれるのを待っている。一応各出版社からそれぞれサービスが提供されているのだが、一つの出版社だけを絞って見続ける人が果たしてどれだけいるのだろう。複数のサービスを使い分けるなんて面倒をするくらいなら漫画読まない人も多いだろう。僕もそんな面倒な事しない。それよりも一つのサービスで様々な作者の漫画が見られれば利用しようとする人は増えるはずである。

 

漫画村の存在は違法そのものだったが、やってることは出版業界に望む未来に近かった。ぶっちゃけ漫画村と同じことを良質なサービスと共に提供すりゃあいいんだよ。

そうしてくれれば僕は喜んで友達料金を払うしズッ友になることもやぶさかではない。

 

だから出版社くん!出版業界くん!僕と友達になってよ!